入国カードの書き方|電子化が進む到着手続きの準備
海外への到着時に提出が求められる入国カード(到着申告書)は、渡航先によって書式や提出方法が異なっており、電子化が急速に進んでいます。従来の紙のカードから、EES、ETIAS、TDAC、SG Arrival Cardなどのオンラインシステムへの移行が進む中、スムーズに手続きを完了させるには事前準備が欠かせません。この記事では、入国カードの書き方から電子化システムの特徴、事前準備のポイントまで、到着手続きを円滑に進めるための情報をまとめています。複数国を訪問する場合の申請管理方法や、記入時に起こりうるトラブル対処法も含めて解説します。
入国カードの役割と基本情報
入国カードとは
入国カード(到着申告書、Arrival Card)は、外国に到着したときに空港や港の入国審査で提出する書類です。旅券情報や滞在目的、滞在先住所、職業などの個人情報を記入して、出入国管理局に提出します。この情報は、出入国管理と国家安全保障のために利用され、不正な入国や滞在の防止に役立てられています。
電子化の進展
近年、多くの国が入国カードの電子化を進めています。従来の紙のカード記入から、スマートフォンやウェブサイトを使用したオンライン申告へ移行することで、到着手続きが簡素化され、入国審査がスムーズになるメリットがあります。電子化されたシステムを利用することで、紙のカードを紛失したり、記入を間違えたりするリスクも減ります。
紙の入国カードの書き方と記入上の注意点
基本的な記入項目
紙の入国カードが採用されている国では、以下の情報が一般的に求められます。旅券番号、氏名(パスポートと同じ表記)、性別、国籍、職業、生年月日、パスポート発行国、滞在目的(観光・業務・留学など)、滞在先住所(ホテル名と部屋番号、またはホテルの住所)、連絡先電話番号、メールアドレス、入国便名(航空会社と便名)、搭乗地(前の経由地も含める場合あり)、滞在予定期間。国によっては、緊急連絡先や健康状態に関する質問項目が追加される場合もあります。これらの情報を迅速かつ正確に記入することが、スムーズな入国審査のために重要です。
パスポート記載内容との完全な一致確認
入国カードに記入する氏名、生年月日、パスポート番号は、必ずパスポートの情報と完全に一致している必要があります。わずかな誤字でも、入国審査が遅延する原因になります。例えば、氏名の漢字が「菜」と「采」のように似ている字の場合、パスポートと同じ字を使うことが重要です。スマートフォンに撮影したパスポートのコピーを手元に用意しながら記入することで、誤りを防げます。パスポートと入国カードの情報が一致しないと、入国スタッフから追加質問を受けたり、別室で詳しい確認をされたりする可能性があります。
記入時の注意点
ペンは黒インクまたは青インク、記入は活字体(大文字推奨),修正液は使用しない(訂正線を引いて署名),空欄は「N/A」と記入,氏名はパスポートと完全に一致させる
記入漏れや誤りは入国審査の遅延につながるため、機内で配布されるカードを受け取ったら、着陸前に記入を完了させることが推奨されます。滞在先のホテル名や住所は、旅行の予約確認書やスマートフォンのメールで確認してから記入してください。
滞在先住所の準備
入国カードには正確な滞在先住所が必須です。ホテルの場合は、ホテル名と住所、部屋番号を記入します。Airbnbなどの民泊施設の場合は、施設の住所を記入してください。滞在先が未定の場合は、到着後に泊まる予定のホテルやゲストハウスの住所を記入し、「予定」と注釈をつけます。住所の英語表記やローマ字表記が必要な場合は、予約確認メールから正確にコピーすることが重要です。
職業欄の記入方法
入国カードの職業欄は、簡潔に自分の職種を英語で記入します。一般的な職業は「Engineer(エンジニア)」「Teacher(教師)」「Office Worker(事務職員)」「Salesperson(営業職)」「Housewife(主婦)」「Student(学生)」「Retired(定年退職者)」などです。自営業の場合は「Self-employed」、失業中の場合は「Unemployed」と記入します。具体的な会社名や業務内容の詳細は不要で、簡潔な職業名で十分です。
電子化された入国手続きシステムの特徴
入国カードの電子化は、旅行者と各国の出入国管理機関の双方にとって多くのメリットをもたらします。処理時間の短縮、データの正確性向上、セキュリティ強化など、様々な利点があります。今後も電子化の波は世界中に広がると予想されます。
EES(欧州出入国記録システム)
EES(Entry/Exit System)は、シェンゲン圏の29の欧州国で2026年4月10日から完全運用が開始された電子出入国記録システムです。従来のパスポートスタンプが電子記録に置き換わり、顔画像、指紋、旅券の個人データが記録されます。
EESの対象は、シェンゲン圏へ短期滞在(180日のうち90日以内)するすべての非EU国民です。事前申請は不要で、到着時に国境で登録されますが、スマートフォンアプリ「Travel to Europe」を使うと、入国の72時間前から事前にデータを登録できるため、国境審査の時間を短縮できます。ただし、対応している国のみで利用可能です。
ETIAS(欧州電子渡航認証)
ETIAS(European Travel Information and Authorization System)は、シェンゲン圏及びキプロスを対象とした電子渡航認証システムで、2026年第4四半期(10月から12月)の開始を予定しています。ビザ免除国の国民がシェンゲン圏への短期滞在をする際に申請が必要になります。
ETIASの申請は出発前に行う必要があり、個人情報、旅券情報、渡航情報を入力した上で、申請手数料を支払います。多くの申請は数分で承認され、承認されたETIASは旅券に紐づけられ、有効期間は3年間、または旅券の有効期限までのいずれか早い方です。搭乗前に承認されていることが必須条件であり、到着時の申請では間に合いません。
TDAC(タイデジタル到着カード)
タイ旅行では、2025年5月1日からTDAC(Thailand Digital Arrival Card)のオンライン提出がすべての外国人に義務化されました。空路、陸路、海路を問わず、タイに入国するすべての外国人がTDACを事前にオンラインで提出する必要があります。
提出は到着予定日の3日前から可能であり、公式サイト「tdac.immigration.go.th」から申請します。手数料は無料で、申請後は確認番号が発行されます。到着時には確認番号を提示することで、入国手続きが簡素化されます。
SG Arrival Card(シンガポール到着カード)
シンガポール旅行では、SG Arrival Cardの提出が到着日を含む3日以内に必須です。オンラインで申請でき、提出は無料です。このカードは従来の紙のカードに代わるもので、電子化により入国手続きが円滑化されています。
韓国 K-ETA と入国手続き
韓国旅行では、K-ETA(韓国電子渡航認証)が従来は必須でしたが、日本国籍者のK-ETA一時免除期間が2026年12月31日まで延長されているため、2026年中の観光目的の渡航ではK-ETA申請は不要です。ただし、この免除は期限付きであり、2027年以降は再び申請が必要になる可能性があります。渡航前に最新情報を確認することが重要です。
電子申請に向けた準備
事前に用意すべき情報
電子入国カード申請を円滑に進めるために、事前に以下の情報を準備しておくことが重要です。パスポート番号、パスポートの有効期限、パスポート発行国、パスポート発行日、氏名(パスポートと同じスペル)、生年月日、国籍、職業、メールアドレス、電話番号、滞在先住所(ホテル名と住所、またはAirbnbのアドレス)、滞在予定期間、搭乗航空会社と便名、出発地(直前の経由地)、滞在目的。
- パスポートのコピーまたは写真(パスポート情報確認用)
- ホテル予約確認書(住所確認用)
- 航空券(便名と日付確認用)
- 滞在期間の計画書(到着日と出発日が明確に分かるもの)
- メールアドレス(確認番号受け取り用)
- スマートフォンまたはパソコン(申請用デバイス)
オンライン申請のタイミング
多くの電子入国カードシステムでは、申請できる期間に制限があります。TDACは到着予定日の3日前から、SG Arrival Cardは到着日を含む3日以内というように、システムによって異なります。一般的には、フライト予約が確定したら、申請が可能な時期を確認し、渡航予定日の1週間前には申請を完了させることが推奨されます。
申請後の確認と保存
オンライン申請後は、確認ページをスクリーンショットまたは印刷して保存してください。確認番号やQRコードが表示される場合があり、到着時に提示が必要になることがあります。メールで確認番号が送付される場合は、そのメールをスマートフォンに保存し、ネット接続がない環境でも確認できるようにしておきましょう。
入国カード情報をデバイスで管理する方法
複数の入国カード申請を管理する場合、スプレッドシートやメモアプリを使用して情報を一元管理することが便利です。各国の申請期限、確認番号、申請状況を記録しておくことで、申請漏れを防げます。また、クラウドストレージ(GoogleドライブやDropboxなど)に確認番号のスクリーンショットやPDFを保存しておくことで、デバイスを紛失した場合でも確認情報にアクセスできます。
入国手続き当日の流れ
紙のカードが必要な場合
紙の入国カードを使用する国では、機内で配布されるカードを受け取ります。着陸前に記入を完了させておくことで、到着後の入国審査がスムーズになります。到着後は、入国審査カウンターで係員に提出し、審査を受けます。
電子システムを使用する場合
電子入国カードシステムを使用する国では、事前にオンライン申請を完了させておく必要があります。到着時には、確認番号またはQRコードを提示し、パスポートスキャンや指紋採取などの手続きを受けます。申請が正確に行われていれば、手続きは迅速に完了します。
審査で求められる可能性のある書類
入国審査では、申告内容が正確か確認するため、以下の書類が求められる場合があります:パスポート、リターンチケット(帰国便のチケット)、ホテル予約確認書、クレジットカード、銀行残高証明書。滞在目的が業務の場合は、雇用契約書や招聘状が必要になることもあります。
国際線の空港手続きから入国まで
出発地での準備
出発地の空港でチェックインする際に、航空会社はパスポートと搭乗券を確認します。この段階で、パスポートの有効期限が十分か、ビザや電子渡航認証が取得されているか、最終確認をしておきましょう。
機内での準備
長時間フライトの場合、機内で入国カードが配布されます。乗務員が配布するカードを受け取り、着陸前に記入を完了させることで、到着後の手続きが効率化されます。一方、オンラインシステムを使用する国への渡航の場合は、事前申請が済んでいることを確認してから搭乗しましょう。
到着から入国審査まで
飛行機から降りたら、案内に従って入国審査エリアへ向かいます。紙のカードを使用する国では、カウンターで係員に提出し、パスポートと照合した上で審査を受けます。電子システムを使用する国では、キオスク(自動審査機)または有人カウンターで、パスポートスキャンと指紋採取を行います。
入国審査の所要時間と待機対策
入国審査にかかる時間は、空港の混雑度と審査システムの効率性によって大きく異なります。朝早い便では審査が比較的スムーズですが、複数の航空会社の便が同時到着する夕方から夜間は長時間の待機が予想されます。電子入国システムを使用する国は、一般的に紙のカード制度よりも処理が迅速です。待機中は立ったまま過ごすことになるため、到着時には靴が脱ぎやすい履物、疲れにくい服装が推奨されます。
入国カード電子化への国際的な動き
世界中で入国カードの電子化が進行しており、2026年から2027年にかけてさらに多くの国がデジタルシステムへ移行することが予想されます。これにより、旅行者の利便性が向上する一方で、事前申請への対応が必須になる傾向が強まっています。スマートフォンやパソコンで申請できることのメリットは大きいですが、システムエラーや接続不能に備えて、紙版の情報も常に携帯しておくことが推奨されます。
よくある質問
入国カードを紛失した場合、どうすればよいですか
紙の入国カードを紛失した場合は、到着時に再度入手できます。入国審査カウンターの近くには通常、追加のカードが用意されており、係員にカードをもらえるか聞いてください。電子申請システムの場合は、紛失の心配がないため、スクリーンショットやメールで確認番号を保存しておくことが重要です。
入国カードの記入を間違えた場合、修正できますか
紙のカードの場合、軽微な誤りは訂正線を引いて署名することで修正できます。ただし、大きな誤りや重要な項目(名前、パスポート番号など)の誤りは、新しいカードに記入し直すことが推奨されます。電子申請システムの場合は、修正が必要であれば再度オンラインで申請し直してください。
滞在先が決まっていない場合、入国カードにはどう記入しますか
滞在先が未定の場合は、最初の宿泊先(到着初日のホテルやゲストハウス)を記入してください。以降の滞在先が決まっていない場合は、滞在都市の名前と「Hotel to be confirmed」と記入する、または最初の宿泊先のアドレスのみを記入することが一般的です。
複数国を訪問する場合、各国で入国カードが必要ですか
各国への到着時に、それぞれ入国カード(電子または紙)の提出が必要です。シェンゲン圏(EES対象国)間での移動の場合は、追加の出入国記録が必要ない場合もあります。ただし、シェンゲン圏外への入国は別途手続きが必要です。各国の出入国管理制度を事前に確認してください。例えば、フランス→イタリア→スペイン というシェンゲン圏内での周遊の場合は、フランス到着時のEESのみで問題ありませんが、スペイン→モロッコ という非シェンゲン国への移動には、モロッコの入国手続きが必要になります。
入国審査で滞在期間を制限されることはありますか
入国審査の際、申告した滞在期間よりも短い期間で出国を求められることはまれですが、ビザ免除国での滞在の場合、査証なしで許可される最大滞在期間(例えば観光で90日など)の制限は厳格に適用されます。入国カードで申告した滞在期間が法定上限を超えていないか、事前に確認してください。
入国カードのデータはどのくらいの期間保存されますか
入国カードのデータ保存期間は国によって異なります。一般的に、出入国記録は数年間保存される場合が多いですが、具体的な期間は各国の法律に基づきます。個人情報の詳細については、渡航先国の出入国管理局の公式サイトで確認してください。データの保存期間は、その国への再入国時に過去の滞在記録が参照されるため、重要な情報です。
オンライン申請が承認されたが、データの再確認をしたいのですが可能ですか
多くの電子入国システムでは、一度申請が承認された後は修正ができません。申請前に何度も内容を確認し、誤りがないことを確実にしてから提出することが重要です。もし重大な誤りがあった場合は、渡航先国の出入国管理局に直接連絡し、対応方法を相談してください。
ビジネス出張で渡航するが、入国カードには「観光」と記入してもよいですか
絶対に避けてください。入国カードに記入する滞在目的は正確でなければなりません。ビジネス出張の場合は「Business」または「Business Trip」と記入し、査証免除国でも実際の目的と異なる申告は、入国審査で厳しく取り調べられる可能性があります。正確な滞在目的を申告することが、スムーズな入国のための最善の方法です。
入国カード作成時に起こりうるトラブルと対処法
紙のカードで記入ペンが用意されていない場合、乗務員に申し出るか、自分のボールペンを使用することができます。ただし、黒または青インクを使用することが重要です。機内で何度も修正を重ねてしまった場合は、乗務員に新しいカードの配布を申し出てください。オンラインシステムで申請エラーが発生した場合は、ブラウザをリロードして再試行するか、別のブラウザで申請を試みてください。システムへのアクセス不可が続く場合は、渡航先国の在外公館に事前に連絡し、到着後の対応について確認することが重要です。
入国カードの言語について、英語で記入してもよいですか
ほとんどの国の入国カードは英語での記入が認められています。ただし、一部の国は現地言語(または特定言語)での記入を指定している場合があります。カード上に「Please write in English」と記載されていれば英語で記入できますが、表示がない場合は申し訳程度にでも現地言語を使用するか、乗務員に確認することが安全です。