預け入れ荷物のルール|入れてはいけないものと詰め方
飛行機でスーツケースを預け入れるとき、何が入れてはいけないのか?と迷うことは少なくありません。この記事では、航空法に基づく国土交通省の規則から、預け入れ手荷物に持ち込める品目、危険物扱いになるもの、そして検査に引っかからず確実に目的地に着く梱包方法までを解説します。ルールを理解して、安心して荷物をお預けしましょう。
預け入れ手荷物と機内持ち込みは別ルール
多くの人が気づきにくいのですが、飛行機の荷物ルールには大きな落とし穴があります。それは、機内に持ち込めないものの中に、スーツケースに預けるなら入れてもいいものがあるということ。逆もまた然りで、預け入れは禁止だけれど機内持ち込みなら大丈夫という品目も存在します。
機内持ち込みは乗客の目が届く場所で、かつ緊急時にすぐ対応できる環境です。一方、預け入れ手荷物は気圧が低く、温度が変わる貨物室に置かれるため、危険物の扱いは異なります。
これからお伝えする内容は、国土交通省が定める航空法及び関係規則に基づいた「代表例」です。以下の点に注意してください。
ルールはあくまで最小限のルール
国際的なICAO(国際民間航空機関)の基準に基づいており、航空会社の社内規則によってさらに厳しく制限されている場合があります。また、国際線では外国当局の規則により、日本国内と異なる制限が科される場合も珍しくありません。
個人使用が前提
預け入れできる危険物は「旅客の手荷物として個人が使用するもの」に限定されます。商業目的や業務用の品物は持ち込めません。
必ず航空会社に確認する
掲載されている品目でも、航空会社の判断で「安全が確認できず危険物と判断される」として運べない場合があります。利用する航空会社に出発前に必ず確認しましょう。
預け入れに絶対に入れてはいけないもの
スーツケースに入れるなら大丈夫と思って、実は禁止されているものが意外に多くあります。特に電池類には厳しい規制があります。
モバイルバッテリー・リチウムイオン電池
スマートフォンやタブレットの充電器として必携のモバイルバッテリー。出発前に「念のため預けよう」と考える人も多いですが、これは預け入れが禁止されており、必ず機内持ち込みする必要があります。
リチウムイオン電池(李電池)は、貨物室の低気圧や温度変化で発火のリスクが高まるため、国際的なルールで機内への持ち込みが義務付けられています。違反した場合、航空法により罰則が科される可能性があります。
持ち込み可能な個数と容量
機内持ち込みできるモバイルバッテリーは2個まで、ワット時定格量160Wh以下に限ります。160Wh を超えるものは、どのような場合でも持ち込めません。
ワット時定格量(Wh)の計算方法は、バッテリーに記載されている定格容量と定格電圧から導き出せます。定格容量がAh(アンペアアワー)で表記されている場合は、次の計算式を使用してください。
定格容量が Ah 表記の場合:ワット時定格量(Wh) = 定格容量(Ah) × 定格電圧(V)
定格容量が mAh 表記の場合:ワット時定格量(Wh) = 定格容量(mAh) × 定格電圧(V) ÷ 1,000
例えば、3.7V・3,000mAhのバッテリーの場合は「3,000 × 3.7 ÷ 1,000 = 11.1Wh」となります。ほとんどのモバイルバッテリーはこの範囲に収まっています。
デジタルカメラやゲーム機の予備電池
デジタルカメラやゲーム機から取り外した予備電池も、リチウム電池と同じルールが適用されます。100Wh以下の予備電池であれば個数制限はありません。ただし、100Whを超え160Wh以下の予備電池の場合は、モバイルバッテリーと合わせて合計2個までという制限があります。
機内でのバッテリー充電は禁止
持ち込んだモバイルバッテリーから、飛行中に他の電子機器へ充電することも禁止です。スマートフォンやタブレットを充電したい場合は、機内の電源コンセント(設置されている場合)から直接充電してください。
バッテリーの保管方法
2025年7月8日のルール改正により、座席上の荷物棚への収納が禁止されました。モバイルバッテリーは常に状態が確認できるよう、座席のポケットや手元に保管する必要があります。同時に、ショート防止のため以下の措置を取ってください。
- 端子に絶縁テープを貼る
- ケースや収納袋に入れる
- 複数のバッテリーや金属品と同じ袋に入れない
詳細はモバイルバッテリーの機内持ち込みルールの記事で解説しています。
機内持ち込みは禁止だが、預け入れなら持ち込める品目
反対に、機内には持ち込めないのに、スーツケースに預けるなら大丈夫な品目があります。これらは貨物室に置かれることで、安全が確保できると判断されています。
刃物類全般
ナイフ、はさみ、カッター、剃刀などの刃物類は機内への持ち込みは禁止ですが、スーツケースに入れて預け入れするなら可能です。該当する品目には以下のものがあります。
- ナイフ(普通のナイフ、牡蠣剥き用ナイフ、ペーパーナイフなど)
- はさみ(普通のはさみ、幼児用はさみ)
- カッター、葉巻カッター、シートベルトカッター
- 剃刀、手術用メス
- フードカッター、アップルカッター、ピザカッター
ただし注意があります。材質や強度、形状によって「凶器になり得る」と航空会社または保安検査員が判断したものは、預け入れであっても持ち込めない場合があります。特に自作の刃物や異常に鋭いもの、隠し刃を持つものについては、事前に航空会社に問い合わせてください。
刀剣類
日本刀、中国刀、西洋刀、あいくち、飛び出しナイフなどの刀剣類も、機内持ち込みは禁止ですが預け入れなら可能です。ただし、銃砲刀剣類所持等取締法により所持自体が禁止されているものは、当然ながら飛行機に乗せることもできません。出発前に確認が必要です。
銃砲類・発射体類
銃砲、空気銃、BBガン、スターターピストル、玩具銃などの銃砲類は機内持ち込み禁止ですが、預け入れなら可能な場合があります。同様に、スリングショット(パチンコ)、弓矢、ボウガン、ビス打ちピストルなどの発射体類も預け入れ対応です。
ただし、これらの品目は銃砲刀剣類所持等取締法など関連法令により、そもそも所持が禁止されている場合があります。必ず事前に確認してください。
スポーツ用品・運動器具
ゴルフクラブ、ゴルフスイング練習用具、バット、アイススケート靴、ゲートボール用スティック、ホッケースティック、ラクロススティック、ブーメランなどのスポーツ用品は、機内持ち込み禁止ですが預け入れ可能です。
ただし、航空会社によって別途重量制限やサイズ制限がある場合があります。またクリケットのバットのように、凶器としての可能性を認識している品物については、航空会社の判断で預け入れを断られることもあります。
機内・預け入れ両方で禁止されている品目
ここからが最も重要です。機内持ち込みはもちろん、スーツケースに入れて預け入れすることも絶対に禁止されている危険物があります。
火薬・爆発性物質
花火(打ち上げ花火、手持ち花火、爆竹、線香花火など)、弾薬は持ち込み・預け入れとも禁止です。新年や夏祭りの思い出を持ち帰りたい気持ちはわかりますが、絶対に避けてください。
燃料・加熱製品
キャンプやアウトドアが好きな人が特に注意すべき品目です。
- カセットコンロ用ガスボンベ(イソブタンガス)
- キャンプ用ガソリンランタン・オイルランタン
- ガソリンストーブ
- オイル充填式携帯カイロ・白金カイロ(一部を除く)
- 加熱式弁当(発熱剤付き)
- 加熱式飲料(温かい飲料を作る発熱シート付き)
これらは温度管理ができない貨物室で発火・爆発のリスクが非常に高いため、航空法で明確に禁止されています。
有害物質・腐食性物質
以下の物質は、飛行中に漏れ出したり反応したりすると、機体や他の荷物、乗客に危害を加える恐れがあります。
- 水銀(体温計、血圧計など)
- アイソトープ(放射性物質)
- 漂白剤、カビ取り剤
- 「塩素系」「混ぜるな危険」表示のある洗剤
- 空間除菌製品(噴霧型、置型など)
- 夜光性塗料(自動発光する塗料)
「液体」という括りで許可されている化粧品とは異なり、これらは化学的な危険性が高いため区別されています。
その他の禁止品
以下の品目も持ち込み・預け入れとも禁止です。
- くん煙式殺虫剤(バルサン類)
- 熊よけスプレー、ペッパースプレー、催涙スプレー
- 石炭
- 内燃機関または燃料電池機関(エンジン、発電機など)
特にスプレー缶については、誤解が多くあります。デオドラント・制汗スプレーのような一般的な化粧用スプレーは条件付きで許可されていますが、防御目的のスプレーは禁止です。
化粧品・医薬品・スプレー缶の数量ルール
化粧品やスプレーは完全に禁止ではなく、数量制限があります。このルールをきちんと理解していないと、チェックイン時に荷物が没収される可能性があります。
一容器あたり・1人あたりの制限
化粧品類、医薬品類、スプレー缶の合計で、以下の基準を満たす必要があります。
一容器あたり:0.5ℓ または 0.5kg 以下
1人あたり合計:2ℓ または 2kg 以下
※ この合計は化粧品類・医薬品類・スプレー缶の3種類の合算です
つまり、シャンプー・リンス・化粧水・乳液・クリーム・制汗スプレー・ヘアスプレーなど、複数の液体やスプレーを持つ場合は、全て合計して2kg以下に収まるようにパッキングする必要があります。
スプレー缶の保護
ガスが充填されたスプレーを持ち込む場合、噴射弁が偶発的に押されて中身が漏れることを防ぐため、キャップまたは適当な保護方法で噴射弁を保護してください。飛行中の気圧変化でスプレーの内圧が高まり、予想外に噴射される可能性があるためです。
禁止される化粧品・医薬品
数量制限の対象ではなく、完全に禁止されるものもあります。
- 漂白剤、カビ取り剤
- 「塩素系」「混ぜるな危険」表示のある洗剤
- 熊よけスプレー、ペッパースプレー、催涙スプレー
これらは危険物として扱われ、数量に関わらず持ち込めません。
アルコール飲料の度数別ルール
海外でのお土産として、お酒を持ち帰ろうと考えている人も多いでしょう。アルコール度数によってルールが異なります。
| アルコール度数 | 機内持ち込み | 預け入れ | 条件 |
|---|---|---|---|
| 24%以下 | 可能 | 可能 | 数量制限なし(危険物ではない) |
| 24%を超え70%以下 | 可能 | 可能 | 5ℓ まで、小売販売の容器のまま |
| 70%を超えるもの | 禁止 | 禁止 | いかなる場合も不可 |
24%を超える酒類を持ち込む場合、重要な条件があります。小売販売されている容器に収納されたまま持ち込むことが必須です。ペットボトルやスキットル(水筒型の携帯容器)に移し替えたものは持ち込めません。
ウイスキー、ブランデー、スピリッツなど高度数のお酒は、必ず元の瓶や箱で持ち込んでください。
自分自身の手荷物に限る
航空法の細則に「自己の手荷物に他人の当該物件を入れてはならない」という規定があります。つまり、友人や家族からの依頼で、他人の危険物をあなたのスーツケースに入れて運ぶことは禁止です。
たとえ相手が危険物だと知らない場合でも、預け入れ時のトラブルの原因になります。荷物の中身は必ず自分でコントロールし、信頼できる人からの要頼であっても内容を確認してから同意してください。
貴重品・壊れ物は預けない理由
法律で禁止されていなくても、預け入れすべきでない品物があります。
ロストバゲージの可能性
ごく稀ですが、預け入れ荷物が目的地に到着しないこと(ロストバゲージ)があります。確率は低いとはいえ、現金、クレジットカード、パスポート、貴金属、医療機器、パソコン、医薬品など代替が効かないものは絶対に預けないでください。
万が一のトラブルに備えて、ロストバゲージの対処法もあらかじめ確認しておくことをお勧めします。
破損のリスク
預け入れ荷物は、地上係員による積み込み・積み出しの過程で、ある程度の衝撃を受けます。カメラ、楽器、ガラス製品などの割れやすいものは、特に丁寧に梱包する必要があります。
預け入れ荷物の正しい詰め方
危険物ルールをクリアしても、詰め方が不適切だと空港で検査に引っかかり、遅刻や没収のリスクが生じます。以下のポイントを守って、スムーズなチェックインを目指しましょう。
重いものは下に、軽いものは上に
スーツケースの底に重い荷物(靴、本、スキンケア用品など)を並べ、その上に衣類を重ねるレイアウトが基本です。重心が低いと、輸送中のスーツケース転倒時に内部の荷物へのダメージが少なくて済みます。
液体は液漏れ対策を
シャンプー、ボディソープ、スキンケア用品など液体系の荷物は、漏れることを前提に対策を取ってください。
- ボトルのふたをしっかり締める
- ジップロックやビニール袋に入れる(複数枚重ねもOK)
- 衣類から離した場所に配置する
気圧の変化でボトルが膨張することもあるため、ボトルの蓋がきちんと閉まるか出発前に確認してください。
壊れ物は衣類で厳重に包む
カメラ、ガラス製品、電子機器などは、衣類を何重にも巻きつけて保護してください。洋服だけでなく、タオルやバスタオルなども活用し、できるだけクッション性を確保します。
荷物が動かないようにパッキング
パッキングキューブを使うと、スーツケース内での荷物の移動を防げます。また、すきま埋めに圧縮袋や小さなポーチを使うことで、輸送中の荷物の揺れを軽減できます。
スーツケースの鍵とTSAロック
預け入れ荷物は空港職員により開封検査されることがあります。TSAロック(米国運輸保安庁が認定した特殊なロック機構)があれば、検査官が合鍵で開けることができるため、鍵を壊される心配がありません。新しいスーツケースを購入する際は、TSAロック搭載モデルをお勧めします。
ベルトや目印で識別性を高める
スーツケースは似たような見た目のものが多くあります。空港の荷物受け取り場で誤って他人の荷物を持ち帰らないよう、またあなたの荷物を他人が誤認しないよう、スーツケースに目立つベルトやキーホルダーをつけるのが効果的です。
古いタグを剥がす
前回の旅行で貼られた荷物タグが残っていると、スキャンシステムが混乱し、別の飛行機に積まれてしまう可能性があります。チェックイン前に古いタグを全て剥がしてください。
スーツケースのサイズ選び
スーツケースのサイズ選びでは、旅行日数に応じた容量の目安を解説しています。航空会社によってサイズ・重量制限が異なるため、事前に確認が必須です。
液体物ルールとの関係
機内持ち込みの液体物には「100ml以下」という厳しい制限がありますが、預け入れ手荷物にはこの制限が適用されません。ただし、化粧品・医薬品・スプレー缶については「1人あたり2ℓ(2kg)まで」という異なる基準が適用されます。
詳細は機内持ち込み液体制限の完全ガイドで解説しているので、参考にしてください。
出発前のチェックリスト
スーツケースの詰め込みが終わったら、以下のチェックリストで最終確認をしましょう。
- モバイルバッテリーは機内持ち込みに移した(スーツケースに入っていない)
- 刃物類・カッター・はさみは全てスーツケースに収納した
- 危険物(ライター、火薬、燃料、カセットコンロ、ガソリンランタン)が入っていない
- 漂白剤・カビ取り剤などの禁止洗剤が入っていない
- 化粧品・医薬品・スプレー缶の合計が2ℓ(2kg)以下である
- アルコール飲料の度数と量を確認した
- 液体ボトルのふたは全て閉まっている
- ジップロックやビニール袋で液体を二重・三重に保護した
- 壊れ物は衣類で厳重に包んだ
- 古いタグは全て剥がした
- スーツケースの重量は航空会社の制限を超えていない
国土交通省の公式情報を確認する
このガイドで紹介したルールは、国土交通省が公開している航空法の規則に基づいています。最新のルールは変更される可能性があるため、出発前に必ず公式情報を確認してください。
国土交通省 PDF「機内への持込み又はお預け手荷物に制限がある品目の代表例」
よくある質問
預け入れ手荷物の重量制限を超えた場合はどうなりますか
航空会社によって異なりますが、一般的には超過手荷物料金を支払うことで運んでもらえます。ただし、極端に超過している場合や安全上の理由で持ち込みを断られる場合もあります。チェックイン時に航空会社に相談してください。詳細は利用する航空会社の公式サイトで確認しましょう。
ライターやマッチを持ち込みたいのですが大丈夫ですか
ライターとマッチの持ち込み可否は、航空会社ごとに扱いが異なるため、当記事では断定できません。機内持ち込み・預け入れのいずれを希望する場合でも、必ず事前に利用する航空会社に確認してください。多くの国際線ではいずれも禁止ですが、国内線では持ち込みが認められる場合もあります。
電子たばこ(ベイプ)はスーツケースに入れてもいいですか
電子たばこの預け入れ可否についても、航空会社ごとに判断が異なるため断定できません。メーカー・機種によってバッテリー容量やバッテリータイプが異なることも理由です。ただし多くの航空会社では機内持ち込みのみで、預け入れは禁止としています。事前に利用する航空会社に確認することをお勧めします。
ロストバゲージになった場合、保険で補償されますか
旅行保険やクレジットカード付帯保険によって補償される場合があります。ただし、補償内容や補償額は保険商品によって異なります。詳細はロストバゲージの対処法を参考に、出発前に保険内容を確認してください。
国際線と国内線でルールは異なりますか
国内線は国土交通省のルールが適用されますが、国際線では外国当局の規則により制限される場合があります。例えば、シンガポール・アメリカなど国によっては、日本よりも厳しいルールが適用されます。出発前に、渡航先国の入国・搭乗に関する規則を確認してください。